今日の引用は、月間「日本教育」令和3年12月号 より
大阪教育大学教授 家近早苗氏の記事、
教員の心のサポート「ほんものチームによるサポート」からです。
教師のメンタルヘルスには、学校が良好な職場環境であると同時に、教職員の間でよい雰囲気を作ることが影響します。
「教職員のメンタルヘルス対策について(最終まとめ)(平成25年)では、
「教職員には特技や持ち味がある。優れた実践をした時には認め、良いイメージをもって振り返ってもらうことができればストレスもたまりにくい。」こと、
「教職員が感じたことや疑問に思っていることを出せるような雰囲気づくり」がしめされています。
教職員にとって良い雰囲気をつくるのが「協同的風土」であり、それを支えるのが教師の「チームワーク」です。
効果的なチームワークについて考えるとき、企業文化論で有名なカッツェンバックらの高業績チームのモデルが参考になります。このモデルでは、チームは見かけ上は同じに見えてもその内容によって業績と効果が異なる4種類のチームがあることを示しています。家近。石隈(2021)はこれを3種類で整理しています。
①なりかけチーム
チームとして共有する目的や目標を明確にもたないチーム
②「にせチーム」
チームとしての目的に関心のないチームです。
③「ほんものチーム」
メンバー全員が共通の目標を持ち、互いの強みを生かして、共同で授業作り、子ども支援を行うチームです。
このチームでは、成果はチーム全体のものであり、メンバーの小さな一歩(成功を全員で喜ぶことができます。また、メンバーやリーダーの変更などのとき、その困難さを素直に受けとめ葛藤を言葉にし、乗り越えるのです。
3種類のチームを思い浮かべたでしょうか。教職員で作られるチームが「ほんものチーム」になることで、教職員同士が安心で自分を出せるよい雰囲気(風土)につながり、教職員のメンタルヘルスを支えるのです。
そして教師が生き生きとやりがいをもって教育活動を行うことは、児童生徒のメンタルヘルスや学校生活の質にも影響します。
ほんものの「チーム学校」に期待します。