「ポプラ」③

今回も恩師・小野先生の学級通信「ポプラ」から引用です。

 

学校から うちへかえったら

だれもおらへんねん

あたらしいおとうちゃんも

ぼくのおかあちゃんもにいちゃんも

それにあかちゃんも

みんなでていってしもうたんや

あかちゃんのおしめやら

かあちゃんのふくやら

うちのにもつがなんにもあらへん

ぼくだけほってひっこししてしもうたんや

ぼくだけほっとかれたんや

 

ばんにおばあちゃんかえってきた

おじいちゃんもかえってきた

おかあさんが

「たかしだけおいとく」

とおばあちゃんにいうてでていったんやって

 

かあちゃんが ふくしからでたおかね

みんなもっていってしもうた

そやから ぼくのきゅうしょくのおかね

はらわれへんいうて

おばあちゃんないとった

おじいちゃんもおこっとった

 

あたらしいおとうちゃん

ぼく きらいやねん

いっこもかわいがってくれへん

おにいちゃんだけケンタッキーつれていって

フライドチキンたべさせるねん

ぼくつれていってくれへん

 

ぼく あかちゃんようあそんだったんやで

だっこもしたった

おんぶもしたったんや

 

ぼくのかおみたら

じっきにわらうねんで

よみせでこうたカウンタックのおもちゃ

みせたらくれくれいうねん

てにもたしたったらくちにいれるねん

あかんいうてとりあげたら

わあーんいうてなくねんで

 

きのうな

ひるごはんのひゃくえんもうたやつもって

こうべデパートへあるいていったんや

パンかわんと

こうてつジーグのもうけいこうてん

おなかすいたけどな

こんどあかちゃんかえってきたら

おもちゃもたしたんねん

てにもってあるかしたろかおもとんねん

 

はよかえってけえへんかな

かえってきたらええのにな

     あおやま たかし

 

≪やさしいこころ≫

 

この詩は小学1年生6歳の男の子が書いたものです。

――両親に捨てられ、想像を絶する絶望の中にあってなお優しい人間であろうとするこの美しい人間を前にして私はコトバがないーーと

著者灰谷健次郎氏は語っている。

氏の”私の出会った子どもたち”には逆境にくじけずキラキラと輝く美しい子ども達がたくさん登場します。

 

 

☆zekkoutyou

これをもらった中2の時にも泣きましたが、以来何度読み返しても涙がでます・・。

あおやまたかしくんはどんな大人になったのでしょうね。

自分は〇歳になっても、6歳のたかしくんにかないません。