「心を育てる語り 僕が大切にしている学級づくりの原点」
渡辺道治著 東洋出版社 から引用
友だちを応援し助けるその行いが、そのまま自分の力になるのです。
その不思議なチカラの価値を伝えるための語りです。
出典は『16歳の教科書2』 レストランサイゼリアの創業者である、正垣泰彦さんの話です。
そこには次のように書いてあります。
(引用)
僕は、趣味で山登りをするんだけど、山登りって途中でものすごくつらくなって前に進めなくなることがある。
そんな時、どうすればいいか知ってる?
同じ問いを、クラスでも投げかけました。
ある年は1年生に対してこの話をしたことがあります。そのクラスには山登りの経験がある子は半数もいませんでしたが、かまわず全員に考えさせました。
一歩も前に進めないほどしんどい時、どうすればよいか。
子どもたちは次々に答え始めました。
「杖を使う」「水を飲む」「ヤッホーと叫んでみる」「荷物を持ってもらう」「おかしを食べる」「一休みする」「歌を歌う」「ゴールを思い浮かべる」
すべての答えを認めた上で、続きの文章を読み上げました。
(引用)
答えは「誰かの荷物を持ってあげる」こと。
自分だって、もう一歩も動けないくらいきついんだよ?
頭はぼーっとするし、呼吸は苦しいし、足も震えている。
だけど、そこであえて誰か苦しそうにしている人の荷物を持ってあげるんだ。
不思議なものでね、こうすると力が湧いてくるんだよ。
自分のどこにこんな力が残っていたんだ?というくらいスイスイ登れるようになる。
(中略)人間って不思議な生き物でね、「自分のため」だけじゃ力がでないんだよ。
子どもたちは「ええ~~!」と驚いていました。
予想だにしない答えだったのでしょう。
しかし、これこそが「応援は自分の力になる」ことの理由です。
「情けは人のためならず」の言葉にもつながる大切な点です。
誰かのために何かしようとするその気持ちが、そのまま自分自身の力になるのです。
★zekkoutyou
人間って不思議な生き物でね、「自分のため」だけじゃ力がでないんだよ。
不思議で、素敵な生き物ですね、人間って。