子どもが伸びる「声かけ」の正体

沼田晶弘著 角川新書 からの引用

 

≪正直者に損をさせてはいけない≫

 

・・・

子どもたちの中に休み時間が終わっても教室へ戻らず、10分遅刻する子がいました。

普通は遅れると、説教をしてから席に着くように命じます。

説教の間は、正直に時間を守った子どもが待たされることになります。

これでは10分長く遊んだ子のほうが、正直な子よりもトクしたことになりませんか。

クラスの信頼関係ができあがってきたころ、10分遅刻するその男の子が帰ってきていませんでした。

校庭を見ると、悠々と歩いて校舎に向かっています。

ボクはクラスのみんなに言いました。

「時間を守った正直者が損をしちゃいけないよな」

とニヤッと笑います。

そして、「今からでかけるぞ」と全員を引き連れて階段に隠れ、待機します。

階段から教室の様子を見ていると、がらんとなった教室に、遅刻した子どもたスキップをしながら戻ってきました。

「あれ、誰もいない。この時間は別の教室だったっけ?」

 

遅刻した子どもがみんなを探しに行ったすきに、みんなでクラスにもどって授業を始め、「ずっと普通に授業してたよな!」とニヤッと笑います。

そこへ、遅刻した子どもが教室の入り口にまたやってきました。

「どこに行ってたの?」

「ずっといたよ」と子どもたちはニヤニヤ笑っています。

・・・・

クラスの誰に聞いても真実を教えてもらえなかったようで、日記に「いませんでしたよね」と書いてありました。

ボクは「夢です」と返信。

日記を返した日は時間通りに帰ってきたので、みんなに「教えてあげようか」と了解を得て種あかしをしました。

 

クラスがうまくいかなくなるメカニズムは、先生と子どもの間にギャップが生じること、正直者が損するシステムができてしまったことによると、ボクは分析しています。

★zekkoutyou

正直者に損をさせてはいけない。

 

そうですよね。

それには共感できても、こんな楽しい秘密にすることは、私には思いつきません!

「夢です」・・サイコーですね