子ども集団を動かす魔法のワザ!

今回は「教育の鉄人」、杉淵鐵良先生の「子ども集団を動かす魔法のワザ!」からです。ガイアの夜明けなどで紹介された

方で、私も授業を見せていただいたことがあります。(圧巻!でした)

 

≪基本こそがクラスを変える≫

 子どもに教えるべき基本は、あいさつや、返事、学習態度などです。しかも、その基本一つ一つに全力を出させることです。基本を全力でやらせるには、子ども状態をよく見て、子どもひとりひとりにあった指導を考え、うまく子どもを誘導することが必要です。また、基本の指導は、毎日、何度もそのことを繰り返したい、練習させたりすることが大切です。

 

≪大きな声であいさつさせるには≫

 大きな声であいさつできるようになると、子どもが変わります。ものごとに全力で取り組むようになります。まず、教師が手本を見せましょう。やってみせること、声の大きさの基準を示すことです。次に、朝、一人ずつあいさつする場を設定します。列順に一人ずつあいさつをさせます。30人いればあいさつ30連発です。これを「あいさつリレー」といいます。「起立!」「あいさつをします!」「はい!(全員)」「おはようございます(一人ずつ)」、「おはようございます」…全員あいさつするのに、1回1分とかかりません。前の子が言い終わると同時に次の子があいさつをします。わざと声を出していない子には、厳しく、もともと声の小さい子にはやる気があればほめる。それから全体の指導に戻り全員であいさつをしてみましょう。ものすごく声がでます。

 子どもへの指導は常に全体→個→全体→個 の繰り返しです。

 

≪忘れ物の指導のコツ≫

「口がすっぱくなるほど、忘れ物しないようにって言っているのに・・」どこにでもありそうな光景ですね。ただ口で指導しているだけでは、プロの指導とは言えません。たとえば、授業で使う赤鉛筆を忘れることはありませんか。私の場合、赤鉛筆50本くらい買ってきて、削っておきます。それを忘れた子に貸してあげるのです。「そんなことをしたら、いつまでも持ってきませんよ」という先生がいました。「やったことがあるんですか?」「ありません、でも・・」。やってみたら、1か月もしないうちに忘れる子はほとんどいなくなったそうです。

それでも忘れてくる子には?半年続けても毎回もって来ない子には、その子に赤鉛筆をあげるのです。その子の名前をていねいに書いて、プレゼントするのです。こんな感じでやっていくと忘れ物をする子少なくなっていきます。教師の意識も、子どもを注意するだけの状態から、どう自分がサポートしてあげようかに変わってきます。

 

≪子どもの心をつかむ教師の立ち位置≫

 若い頃は子どもとの距離の取り方が難しいものです。やりやすい方法としては、教師の立場というものを子どもに最初にわからせておくほうがいいでしょう。

「君たちを全力で教えます。」「こういう場合は厳しく叱ります。」「友達を馬鹿にするようなことは絶対許しません」などと、教師の立場やしかるべき基準を4月に最初に示しておくことです。そういう宣言のようなかたちできっちり教師の立場を示しておくことと、授業のおもしろさ、授業以外のときの遊びなどでのつながりが、子どもの心をつかむことにつながります。

 

 すごく厳しいのに、すごくやさしい。そんな杉淵先生の姿が感じられます。次回はこの続きです。

 参考文献 子ども集団を動かす魔法のワザ! 杉渕鐵良著 学陽書房