「教師の作法 指導」

今回の参考文献は野口芳宏先生の「教師の作法 指導」さくら社 です。

 

≪変容を褒める≫ 

 できないからこそ変わっていける 未熟だから成長していける

・「できる」ことより「変わる」ことを褒める

 テストで高得点をとる。積極的に手を挙げる。正解を発信する。通常褒められるのはそんな子どもでしょう。しかし、この褒め方だけでは、時に危険な先入観や思い込みをもたらすことがあります。成績のいい子どもは慢心し、できない子どもは委縮する。クラス内のそんな空気がうまれるようでは、質の高い指導にはなりません。

 私の指導目標は「向上的変容」です。つまり、子どもたち自身が成長することを望み、より高い次元へと自分を変容させ続けていくことです。だからこそ私は「できること」よりも「変わること」を褒めることにしてきました。

 自分の誤答に気が付いた。わからなかったことがわかるようになった。そんな変化を褒めるのです。ですから、私のクラスでは、できない子どもほど、よく褒められることになります。

 最初から100点満点では、それ以上伸びる余地がありません。0点の子どもには、100点分の未来がまだ残されているわけです。だから、私は大いにその子を力づけ、自分の前には可能性が満ちていることを伝えようと努めました。

 

・「わからない・できない」ことを褒める

 子どもはもちろん、大人でも間違えるのは嫌なものです。「間違えたら恥ずかしい。だから発言しない」これは教室だけでなく、会議などでもよくあることでしょう。しかし本当は間違えることこそが素晴らしいのです。「わからない時こそ、しめたと思え」私はよくそんな風に呼びかけてきました。そもそも教室はできないことや、わからないことを克服していくための場所ですから、大いにつまづき、間違えながら、課題に取り組んでいくべきなのです。

できないことは決して恥ずかしいことではありません。本当に恥ずかしいのは「できないことをそのままにしておく」こと、あるいは「できない自分」にあれこれ言い訳をつけ、ごまかしてしまおうとすることです。