「T.E.T 教師学」④

 続きです。参考文献は「T.E.T 教師学」トマス・ゴードン著 小学館です。

今日は、「わたしメッセージ」のつくり方を紹介します。

 

わたしメッセージが生徒に強い影響を及ぼすためには、次の3つの情報が含まれていなくてはいけない。

①何が教師に問題を引き起こしているのか。

②教師が受ける「明確かつ具体的な影響」

③教師の内部にひきおこされる感情

 

①何が教師に問題を引き起こしているか

教師は私メッセージの中で、まずこれを伝えなければならない。教師が「受け入れられないこと」について、非難や批判、評価を加えずに述べることだ。たとえば、

「私は床が紙くずだらけなのを見るとき・・」

「私が指示しているのにじゃまされるとき・・」

 これらはすべて、生徒の「行動の結末」からひきおこされた状態を述べている。さらに生徒の「具体的な行動」が教師に問題を所有されることもある。たとえば、

「あなたが飛び跳ねるとき・・」

「君が私の話をさえぎるとき・・」

 これらは、「あなた」が主語である。しかし「あなたメッセージ」ではない。非難や評価、解決策、教訓などの言葉が含まれていないからだ。わたしメッセージではまず、事実だけを述べる。

 正しいわたしメッセージは「~するとき」という形になる。教師が問題を所有するのは「具体的な行動が起きる特別なとき」なのだと生徒に伝えるのだ。教師がいつも動揺しているのではなく、生徒の人格や性格を受容できないのでもない。生徒の「ある特別な行動の状況」に焦点があたっている。このことを生徒に理解させやすいのである。

 

②教師が受ける「明確かつ具体的な影響」

まず例をあげる。「あなたがドアに鍵をかけないでおくと(批判がましくない叙述)、私の持ち物が時々盗まれるんだ(具体的な影響)」「絵の具が戸棚にもどされていないと(批判がましくない叙述)、私は集めて片付けるのにむだな時間をとられる(具体的な影響)。」

 生徒はたいてい、自分の行動が他人に影響を与えているとは、わからない。自分の欲求を満たすことに頭がいっている。だから、生徒が教師にどんな影響を及ぼしているのか、具体的かつ的確に表現しなければ、わたしメッセージに効果はないのである。

 自分の行動が教師に本当の問題を引き起こす(あるいは引き起こすかもしれない)と生徒が理解すれば、生徒が進んで行動を変えるための動機づけになる。たいていの生徒は教師に好かれたいのだから。

  教師はたいてい、「自分に明確かつ具体的な影響をおよぼさない行動」を変えるための、メッセージをよく使ってきた。教師は自分に影響のないことでも、ものごとの良しあし正否について確固とした見解をもっている。これを生徒に押し付けやすい。だから生徒は、教師から何か言われると「教師が影響を受けている」と考えるより、「それは教師の見解だ」と思いがちである。

 生徒の行動を2つの範疇に分ける必要がある。一つは教師に具体的かつ明確な影響を及ぼす行動、一つはそうではない行動である。わたしメッセージの効果が期待できるのは、前者だけなのだ。

 

☆zekkoutyou

 Iメッセージで伝える、というのは心がけてきたつもりでいましたが、改めてIメッセージの作り方を見ると、そこまで考えていなかったことに気づきました。

 「どんなとき」「どんな影響があるのか」・・場面を限定して、具体的に伝えるのが大切なのですね。