「子どもををはぐくむ教師の話し言葉」②

続きです。各担任が書いた通知表の所見を読んでいてどう指導してあげたらよいか、と思っていたところに、ばっちりの部分がありました。

話すときの注意点ですが書くときにも大切です。

 

≪次の行動が見えるように≫

 

 次の二つの言い方を比べてみます。

A) 明日は、いつもより早く学校に来ます。遠足の集合時刻は、8時です。遅れないようにしてください。

 

B) 明日の遠足は、いつも学校に来るよりも早い8時が集合時刻で、遅れないようにしてください。

 

 AもBも、最後に子どもへの注意事項に触れています。しかし、その理由の述べ方が違っています。Aの方は一文が簡潔で、主述がはっきりしています。

 これに対して、Bの方は、主述の呼応がはっきりせず、「学校に来るのが早くなる」のか「8時が早くなる」のか聞く方が錯覚を起こしかねません。

 子どもに指示する場合に、できるだけ聞き違いを起こさせないように話すことです。

 

「今日の体育は、6年生が球技大会の練習をするので、場所をゆずったから、校庭を半分以上使うので、端っこの方しか使えないし、予定をしていたドッジボールは今度にして、鉄棒やはんとう棒にします」

 

 この言い方をすると、子どもの行動に1番必要な部分の「鉄棒やはんとう棒をする」が最後まででてきません。その間、聞き手は「今日の体育は何をするのだろう」と思いながら、最後まで辛抱して聞くことになります。主語と述語の間に、挿入された言葉が邪魔になっているからです。

 この指示の場合には、体育の時間の行動を、明確に伝えることが大切です。

 まず、「体育の時間に鉄棒とはんとう棒をする」と子どもたちに言ってから、その理由を伝える方が話の筋としてはっきりします。

 次に、この話の中で気をつけたいことは、二度出てくる「使う」の主語がそれぞれ違うことです。前の「校庭を半分以上使う」のは6年生です。あとの「はじっこの方しか使えない」のはこのクラスの子どもたちです。このような言い方をすると、聞き違いのもとになりまねません。

 

 同じ言葉を繰り返して使う場合には、気を付けておきたい例です。

 以上の2点をもとにして、先の指示を直してみます。

 

 「今日の体育は、予定を変えます。鉄棒とはんとう棒にします。そのわけは、6年生が球技大会の練習をすることになったからです。校庭を半分以上使うからドッジボールをするのは無理になりました。この次の体育ではドッジボールをします」

 

 まず、予告をした上で、指示の最も大切な「体育の時間に鉄棒とはんとう棒をする」ことを述べています。そのあとで、変更の理由に触れています。この方が、最初の例よりも指示の内容がはっきりと子どもにわかるでしょう。

 次に、文を短く切っています。一文を5つの文に区切りました。これで、主語と述語のつながりがはっきりしてきっき違いのもとが少なくなりました。

 

☆zekkoutyou

 ここでの悪い例のような話し方や文章はよく見かける(自分もしていることがあるかもしれません・・)ことです。

 こんなコツを知っているだけで、ずいぶんわかりやすく伝えることができるようになりと思います。

 

       ところで、はんとう棒って何でしょうか??