今回は「教師の作法 指導」野口芳宏著 桜社からです。
序~教育の根本・本質・原点を考える~
重責のある誇り高い教育者
「人は人によって人になる」というのは大哲カントの言葉だそうですが、これはまことに至言であると感嘆しています。
この格言には「人」が三回登場しますが、私は最初の人は”ヒト” と注釈しています。
サルでも馬でもない人類としてのヒトの意味です。
そして最後の人は人間です。
人間とは人の間と書きますが、これは、社会生活ができるようになった人間ということです。
教育基本法第一条の「国家及ぶ社会の形成者として必要な資質を備えた」人間と言う意味です。
そういう社会人、国民という社会的存在としての人間はヒトならだれでもなれるというわけではない。
ヒトは「人によって」初めてそのように形成されるのだ、というのがここに言われる真中の「人」の意味する所であり、つまりそれが「教育」だということです。
言葉を覚え、遣い、文字を覚え、使えるようになるのもすべては広い意味での教育の賜物です。
つまり、カントの名言は「ヒトは教育によって初めて人間になれるのだ」という意味だ、と私は解しています。
これは、いかに教育という後天的な営みが重要であるかということを証言する名言です。
教育を天職として選んだ我々教育者にとっては、まことに嬉しく誇り高い言葉です。
「人学ばざれば、禽獣に同じ」という中国の言葉もありますが、カントの言葉と同様の重みを持つ名言と言えましょう。
これらの格言は、いずれも教育の重要性を的確に言い当てています。
その重要な教育という大仕事の専門家、専門職であるのが我々教師です。
私たちはまずこの重責を担う職業人としての誇りを自覚し、感謝し、深く認識する必要があります。
☆zekkoutyou
>教育を天職として選んだ我々教育者にとっては、まことに嬉しく誇り高い言葉です。
「我々教育者」 この言葉だけで嬉しく感じます。野口先生と同じところに並べていただいている、という気持ちです。
「ヒトは教育によって初めて人間になれるのだ」
改めて、教育者として誇りをもって仕事をしていきたいと思います。