ケース別でよくわかる!アドラー心理学に学ぶ「勇気づけ」実践ガイド

ケース別でよくわかる!アドラー心理学に学ぶ「勇気づけ」実践ガイド

佐藤丈 著 明治図書 からの引用

 

「当たり前のことの集積こそ最も難しいのだ」

私自身、その「当たり前のことを当たり前のこととして受け入れ、子どもと向き合うこと」の難しさを教師生活30年間ずっとかんじてきたように思う。

 

 では、当たり前のこととは何か。

●人は一人では生きていけない生物である。

 この地球上にはわかっているだけで175万種の生物がいる。そのうちのたった1種類、私たち人間だけが、つながりあわなければ生きていけない。だから、学校がある。つながるための言語やつながり方を教え、学び、伝えるために学校をつくったのだ。

●共同体感覚(所属感・貢献感・信頼感・自己受容)は幸福のバロメーターである

 人は一人では生きていけないからこそ、この共同体感覚が豊かであればそれはすなわち幸福だということ。「相手の目で見、相手の耳で聞き、相手の心で感じる」ことができるようになれたらと私自身思う。しかし、それは難しい。だからこそ、子どもたちと私たちは「不完全な存在」として対等だといえる。

●学校は人と人とがより豊かにつながるためにある

 海の向こう、アメリカでは「市場型教育改革」により、教育の民営化が進んでいると聞く。その是非はともかく、市場原理よりもっと根本的は原則、人と人とがつながる言語として「国語 算数 理科 社会 音楽 図工 体育 道徳」があるのだとい原則を忘れてはならないと思う

●子どもは育つ意志をもつ

 生まれたばかりの子どもはたしかに無力。しかし、小さく弱いという劣等性、劣等感は、たくましく育とうという意思を生み出す。私たち教師は、もっとその意志を信頼しなければならない。

●私たちを含め、人はみな不完全な存在である

 不完全さゆえに、よりよく生きようという意思を生む。力を合わせ、助け合おうとする。自分一人で完璧になろうとすることで、自分で自分の勇気をくじいてしまう。

不完全であることを受け入れ、しかしよりよく生きようとし続けることが、人間に課せられた仕事のようだ。

 

★zekkoutyou

 

 続きに、特別支援学級の遠足を経験した先生の次のことばあります。

「先生、子どもたちはできるんですね。信じて、任せることで自分たちでできるんですね」

 

教師がこのように思えたとき、教師冥利につきる、と思います。

そして、そのとき子どもたちは確実に「勇気づけ」されているのだと思います。