「先生と子どもの『怒り』をコントロールする技術」

臨床心理士 アンガーマネジメントジャパン代表理事 佐藤恵子著 

ナツメ社からの引用

 

 感情を大切にできるこどもに育てるために

 

感情はどのように育つのだろうか。

赤ちゃんに音が出るおもちゃを見せると嬉しそうに手足をバタバタする。

その赤ちゃんの表情や様子を大人が読み取り、「嬉しいね」「楽しいね」と感情の言葉を添える。

このやりとりによって、赤ちゃんの体の中に流れるエネルギーとしての感情が言葉とつながり、「嬉しい」などの言葉を使って、他者と共有できるようになる。

このことを「感情の社会化」という。

この社会化のプロセスで、養育者とのコミュニケーションを通して、子どもは感情の言葉を獲得していくのだ。

 

幼児・児童期になると、子どもは集団の中で一日を過ごす。

友だちとケンカをしたり、嫌なことがあったりすることもあるだろう。

そんなとき、子どもはネガティブなエネルギーを体中にためこんで帰ってくる。

こどもの感情を豊かにするためには、ここでおうちの方が「何か嫌なことがあったのかな?」と子どもの表情を読み取り、声をかけることが大切。

読み取った子どもの表情を言葉にすることで、子どもは「ネガティブな感情も出していいんだ」「受け止めてもらえるんだ」と思えるようになり、安心して不快なことを話せるようになるのだ。

 

そして、大人が子どもの不快な体験に対して、「悔しかったね」「辛かったね」と言葉を添え、受け止めていくことで、子どもは感情の言葉を獲得し、言葉を増やしていく。

同時に「ネガティブな感情は悪い感情ではない」ということも学んでいく。

このようにして、さまざまな感情が子どもの中で育っていく。

子どもが言葉を獲得していくには、大人の感情に関する言葉かけがとても重要なのだ。

保護者、先生など、子どもと関わる大人が感情の言葉をどんどん増やして、子ども達に感情の言葉のシャワーをかけていってほしい。

★zekkoutyou

>「ネガティブな感情も出していいんだ」「受け止めてもらえるんだ」

 

これは、当たり前のようでいて、とても気づきにくいことなのではないでしょうか。

 

以前に、後輩が自分の子どもが泣きそうになったら、「泣かない!と大きな声で言うと泣き止む」という話をしていました。

老婆心ながら、「いたかったね、かなしかったね、などと泣きたい気持ちを代弁してあげたほうがいいらしいよ」と伝えたことを思い出しました。

 

ネガティブな気持ちは、父母に言ってはいけないんだ、と子どもが学んでしまうことはとても悲しく、危険なことですね。

でも、つい、やってしまうことでもあります。

 

気をつけねば!