SOSを出してもらえる大人になるということ

今回は、「教職研修8」「増加する子どもの自殺予防のために学校は何をすべきか」中央大学客員研究員・元防衛医科大学教授 高橋聡美氏 の記事からです。

 

【SOSを出してもらえる大人になるということ】

 子どもたちの相談に対し「自分は子ども話を聴けている」と多くの大人が答える。

しかし、実際は子どもの話を聴くより、叱咤激励したりアドバイスしたりするなど、大人のほうがたくさん話していることが意外と多い。

 よくある会話例×

子 「中間テストの点数が悪かった」

大人「何、この点数?」(非共感)

  「ゲームばっかりしているからだ」(ジャッジ・決めつけ)

  「1日2時間は勉強しなさい」(アドバイス・コントロール

子「・・・」これ以上何も言えなくなる。以後、失敗しても隠すようになる。

 子どもの情景を見せてもらう会話〇

子 「中間テストの点数が悪かった」

大人「点数が悪かったの」(共感)

子 「数学が全然取れなかった」

大人「数学が取れなかったの。残念だったね。」(ありのままに受け入れる)

  「次に向けてどんな風に勉強していく?」(子どもにまずは聞く。コントロールしない)

 

SOSを出してもらえる大人になるために、普段から私たちは子どもにとって安心で安全な存在でいることが大切。大きな声で教師が怒鳴り散らして児童・生徒を従わせる、従わない子は叱られる(罰を受ける)ということが日常の学校もある。これでは、安心・安全の場ではなくなってしまう。

学校が子どもたちにとって安心・安全な場所であること、教師が子どもたちにとって安心な人であること、これは子どもにSOSの出し方教育をする前にやるべき環境整備だと考えている。

また、自死遺児に接する場合は学校においても思いのほか多い。その場合、普段より子どもへの声掛けを多くして「気にかけている」ことを伝える。亡くなった人の話を子どもがしたときは、励ましたりアドバイスしたりすることなく、ありのままも気持ちを安心して話せるように、まずは受容・傾聴する。余計なアドバイスがかえって子どもを傷つけることがある。どんな気持ちでいるのか、子どもの見えている情景をみさせてもらう。