「新卒3年目までに知っておきたい ピンチがチャンスになる切り返しの技術」

 今回は、以前にも紹介しました『新年3年目までに知っておきたいピンチがチャンスになる「切り返し」の技術』松尾英明著 学級経営サポートBOOKS の「あとがき」からです。

学校は、なんのために来るところなの?

子どもたちは、それぞれ様々な解を持ちます。私自身は「よくなるため」という解を持っています。登校したときに比べ、下校するときには何かがよくなっている(成長している)ということです。人間ですから、ときには後退してしまうこともあるかもしれません。それでも、明日はよくなろうと再チャレンジを続けます。

 自分自身には、次のように問いかけます。

自分は教師として、学校に何のために来ているのか?

 自分自身が今ここにいる意味は何なのか。極端な話ですが、自分の対応によって子どもが悪くなるのなら、いない方がいいわけです。一方で、人間は失敗するものです。それが本書で紹介してきた失敗事例の数々です。そして人間は、失敗からも学べます。それも、都合のよいことに、他人の失敗からも学べるのです。

 あらゆる場面で「子どもがよくなる」という本質を見据えて指導します。それも短期ではなく、長期視点です。

 たとえば友達への言葉遣いが悪い時に、ただちに正すか、見守るか。これも、相手に応じて、長期的視点をもって「切り返し」の対応を変えます。

 言われている相手の子どもが「その言葉は傷つくよ」と言えそうなら、それを見守るか、きちんといやだと伝えるようアドバイスしてあげます。言っている子にとっても、第3者の教師の言葉より響くので、両者の成長にとってプラスになります。

 また、放っておいても気づきそうな子どもなら、放っておきます。人に言われるより自分で気づく方が上策だからです。短期的には我慢が必要なことでも、長期的に見たときに効果がある方の手段をとります。

 あるいは、言い返せなさそうな子どもが一方的に言われている様子なら、「それは傷つく言葉だよ」と直接指導することもありえます。

 

 つまり、様々な切り返し事例を挙げてきましたが、「この場合はこれ!」というのはないというのが嘘偽りのない本音です。それは、教師と子どもは「人間対人間」だからです。生身の人間同士の本気のぶつかり合いという意識です(もしこれが機械相手で決まった反応があるなら、どんなに楽で、そして味気ないことでしょう)。いつでも、動き続ける局面での真剣勝負なのです。だからこそ、多くの失敗事例と成功パターンを知っておけば対応の幅が広がり、後でよかったと思える場合が増えるのです。知識と経験は貴重です。

 

 

☆zukkoutyou

いろんな事例・技術がありますが、使いこなすにはこの「本質を見据える」ということが大切なのだと思います。この2つ問いに対するご自身の「解」を考えてみては?