「アドラーに学ぶ職場コミュニケーションの心理学」⑥

小倉広著 日経BP出版からの引用です。

 

≪5 感情を使って人を動かすのをやめる≫

「つい感情的になって」は嘘

 

ついカッとなって大きな声を出してしまった」・・・

理性ではコントロールのできない感情に突き動かされてしまい「無意識」に大声を出してしまった。

そう考える人がほとんどではないでしょうか。

果たしてそれは本当なのでしょうか?

アドラー心理学ではそれを「みかけの因果律」と呼び、言い訳であると断じます。

人は感情に突き動かされているのではなく、感情を作り出し、それを道具として「使用」しているのだ、と考えるのです。

ついカッとなって大きな声を出した」のではなく

「相手を自分の思う通りに動かしたい」という「目的」が先にあり、そのために怒りという感情を自ら作り出し、道具として使用した。

アドラー心理学では、これを「使用の心理学」と呼びます。

そしてあらゆる言動には目的がある、という考え方を[「目的論」と読んでいます。

それだけではありません。

アドラー心理学では意識と無意識が矛盾し葛藤する、というフロイト的な「分割論」をも否定でいます。

そして意識と無意識は1つである。

車のアクセルとブレーキは相反する動きをしているように見えるが、互いに助け合って1つの同じ目的地にたどり着いている。

つまり、それらは1つであるという「全体論」を唱えました。

 

このように考えると、私たちが感情を作りだし、使用することで相手を動かそうとするのは、強引でわがままであることがわかります。

 

「感情を使って人を動かすのは赤ちゃんの名残」

「感情に感情でかえさない」

 

☆zekkoutyou

カッとして大声を出す人等に出会ったとき、このことを知っていると、少し強くなれる気がしています。

「あなたは、その方法でこちらを動かそうとしている、強引でわがままだ」と思えれば、少し冷静でいられそうです。

もちろん、自分がカッとなるときにも・・・・。