参考文献「部下を持つすべての人に役立つ 即戦力の人心術」
マイケル・アブラショフ著 吉越浩一郎 訳・解説
「苦しんでいる人」は自分からは語らない
(他の艦で、無能だと追い出された士官(エリオット)を仮採用した。)
エリオットは、これまでであった多くの士官の中でも、最も才能に恵まれた一人であることを知った。
彼はすべての指示書を理解し暗唱することも、敵艦の発見法などの複雑な手順を説明することもできた。・・・
しかし、エリオットには、基本的な問題があった。
その優しそうな容姿と、おとなしい性格だ。
自信がなさそうに見え、それだけで見くびられ、いじめられてしまうのだ。
彼が前に乗っていた艦の乗組員たちはとくに荒っぽい連中で、毎日のように彼に冷たくあたり、からかったりした。
そして指揮官もその状況をあえて変えようとはしなかった。
私が思うに他人に自信を失わせることで、自分の自信を高めようする人間ほど悲しいものはない。
エリオットは被害者だったのだ。
私は彼に対して、ベンフォルドの乗組員たちは、全員がチームの結果を最優先し、団結して働いているのだと告げた。
「われわれはすべての人間は威厳と尊厳をもって扱われるべきだと信じており、君に対しても同様の態度を示すし、君からも同様の態度を得られるはずだと考えている。誰も君を見下したりしないし、もちろん君も他の者たちを馬鹿にしてはならない。」
彼が自分の力を信じるように手助けすることで、私は新たな一人の優秀な部下を得ることになった。
エリオットに対する私の仕事は、予期しなかった重要な恩恵を生み出した。
私は他の部下たちにきわめて重要なシグナルを送ることができた。
すなわち、
「私は君たちを見限ったりはせず、力になるつもりだ」
と言うシグナルである。
もし彼らが失敗したときに上の者がすぐ愛想をつかすことがわかれば、部下たちはこの集団には救済の余地はなく、次に見限られるのは自分かもしれないと、すぐに判断してしまう。
もしリーダーが積極的に介入して、努力をしている者には手助けをするのを目にしたなら、彼らは安心するだろう。
こうした処置は時間を要するが、部下たちがより安心し、もっと思い切った行動をとろうと組織に対して積極的な態度を示すようにすれば、しめたものである。
誰が一番恩恵を得ることになるだろうか?
それは、あなたなのだ。
★zekkoutyou
『学び合い』の「一人も見捨てない」の考え方と全く同じことが書かれている!!
と思って引用しました。
一人を見捨てるクラスは、二人目、三人目を見捨てる。次は自分かもしれない。
だから、「一人も見捨てない」集団をつくることが大切!
それも、リーダーが一人でするのではなく、みんなで一緒に「一人も見捨てない」集団作りをすること。
本質的なことは、どこの集団でも変わらないのだと心を強くしました。