「気になる子への言葉がけ入門」

西川純著 明治図書 からの引用

 

生きる力

 

なぜ「学校で勉強するのか?」を語れない自分に悶々としている時、ある研究にであった。

その研究では様々な国の大人に「頭の良い人」はどんな人かを調査したのだ。

「頭の良い人」とはどんな人だろうか?

色々な人に聞いてみると、知識が豊富で、理解力・判断力がある人を指し、創造力のある人が「頭の良い人」と言う答えが多かった。

 

ところが私が出会った研究はちょっと違った調査をしている。

その調査では、まず実際に知っている「頭の良い人」を思い浮かべてもらう。

そして、その人はどんな人であるかを調査したのだ。

つまり「頭の良い人」と言葉を聞いているのではなく、実際の「頭の良い人」の特徴を聞いたのだ。

本来、両者は一致するはずが、実際は違っていた。

 

実際の「頭の良い人」の特徴は、話が面白くて、人の喜びを自らの喜びとし、人の悲しみを自らの悲しみにとらえるひとだった。

意外。

しかし、この結果は諸外国でも一致しているのだ。

なぜだろうか?

 

大人が「頭の良い人」と聞かれた時に思い浮かべる人はテストの点数が高い人ではない。

仕事で結果を出す人。

では、なぜ、話が面白くて、人の喜びを自らの喜びとし、人の悲しみを自らの悲しみにとらえられる人が仕事で結果を出す人なのだろうか?

 

それは、大人の仕事では、誰かの助力を得たとしても最終的に成果を出せば、その人の成果と認められるから。

大人の社会で一番大事な能力は「他人から喜んでその人の能力を貸してもらえる能力」なのだ。

 

では、このような人と関わる能力をいつ勉強するべきだろうか?

当然、今すぐにでもです。

そして子ども達はどこで勉強すべきか?

それは学校である。

★zekkoutyou

 

佐々木正美先生(児童精神科医)も、

「どうして学校のテストでは協力してはいけないのだろう」ということをおっしゃっているのを聞いたことがあります。

 

>大人の社会で一番大事な能力は「他人から喜んでその人の能力を貸してもらえる能力」なのだ。

 

たぶん、同じようにお考えだったのでは・・と推察します。