子どもを伸ばす学級づくり

子どもを伸ばす学級づくり 「哲学」ある指導が子どもを育てる

土作彰著 日本標準 からの引用

 

≪実践の前提論≫

 

①一人ひとりが力を伸ばし、素晴らしいクラスにする」と誓い合うこと(目的の確認)

 

これは学級開きの際に行う儀式である。

教師が今年1年にかける思いを述べた後に次のように問う。

「みなさんはどんなクラスにしたいですか?」

おそらく「楽しいくラス」「いじめのないクラス」「明るいクラス」「悪口もケンカもないクラス」「頑張るクラス」などの美辞麗句が出てくるだろう。

そこで例えば「じゃあ、一人ひとりが力を伸ばす素晴らしいクラスにしたいと思う人は挙手をしてください」

と問うてみる。

全員が手を挙げるはずである。

「『無理だ!』と言う人は今のうちに申し出なさい。いませんか?」と問う。

おそらく誰も申し出ないだろう。

「では、『嘘はつかない。全力で頑張る』とみんなに誓える人は座ります」と言うと全員が座るだろう。

「ほら、見渡してごらんなさい。全員誓うって。嘘つきが出ないかよ~く見ておいてください」と念を押す。

この時点で子どもたたちは、この「儀式」がこの後、自分たちを追い込むことになろうとは誰も気づいていない。

これは今後何か問題が起こったとき、当事者に「あれほど誓ったのになぜ嘘をついた?」と突っ込むために行う。

子どもたちは言葉レベルでは何がよいことか知っている。

しかし、その美辞麗句に言動が伴わないのだ。

そのギャップに問題は起こる。

だからこど、その弱点を突く。

「自分で言ったくせに守らないのは卑怯だ」と言う図式が子どもにはわかりやすい。

「約束は守れ。守れなかったら責任をとれ!」という美意識を教えるのである。

子どもたちは反論できないはずである。

★zekkoutyou

さすが土作先生。

これをそのまま真似できる人は少なそうですが、この熱い「哲学」を直接的な指導の言葉で、読めることがとてもありがたいことだと思います。

子どもを伸ばす学級づくり

子どもを伸ばす学級づくり 「哲学」ある指導法が子どもを育てる

土作彰著 日本標準 からの引用

 

≪実践の前提論≫

①「一人ひとりが力を伸ばし、素晴らしいクラスにする」と誓い合うこと(目的の確認)

②教師が魅力ある授業で、子どもの視線をこちらにむけること(縦糸論)

③子ども同士のつながりをつくる指導を行うこと(横糸論)

④問題を持たされた子どもとつながっておくこと(要配慮児童へのケア)

⑤子どもたちの言動に逐一適切な評価を行うこと(評価論)

 

順に紹介していきたいと思います。

 

ここで注目したのは、要配慮児童のことを「問題を持たされた子ども」と表現していること。

問題が「ある」のではない、「持たされているのだ」という意識。

ここにすでに哲学を感じます。

子どもを伸ばす学級づくり

子どもを伸ばす学級づくり 

「哲学」ある指導法が子どもを育てる 土作彰著 日本標準 からの引用

 

≪教師としての「哲学」≫

 

●原因は「哲学」の欠如

 

「荒れた」クラスの担任教師の問題点は、一体何なのであろうか?

こういった教師たちも本をそれなりに読み、それなりに勉強していた。

子どもたちともよくかかわり、トラブルには逐一対応していた。

それなのに、何が要因だというのか?

 

その最たるものは「哲学」の欠如である。

つまり、「なぜ、子どもたちにこのような教育活動をさせるのか」、その教育活動を支える思想がないのである。

だから子どもたちの「ダメな状況=潜在的危険性」が見えず、したがって何も手を打てずに見過ごしてしまっているのである。

ひょっとしたらその教師は、「これではいけない」と気づいていたのかもしれない。

しかし、いずれにせよ子どもたちを良い方向へと変えられなかった「非力さ」「無力さ」と言う点では同じである。

 

再度言う。

教師たるものは、自分の実践を支える確固たる「哲学」を持たねばならない。

「哲学」をもつことで教師は子どもたちの潜在的危険性に気づき、危険性が顕在化する前に手を打てるのである。

★zekkoutyou

これは『教師のチカラ』シリーズの本です。

シリーズ発刊によせてこのように書かれています。

 

教師よ、元気になれ!そのために〈教師のチカラ〉をつけよう!

 

先生たちが元気になるときは、子どもたちが伸びた!と実感できるときだと思います。

 

そのためには、私たち自身がまず、チカラをつけたい。

この本は指導の具体的な姿と哲学が満載です。

 

”荒れ”への「予防」と「治療」のコツ

赤坂真二著 日本標準 から引用

 

≪先生とつながる  「〇〇先生「」から「ぼくの先生・私の先生」へ≫

 

学級づくりの基本中の基本は、子どもとつながることです。

私が出会った「達人」と呼ばれる教師たちは、授業の腕が抜群であることもそうですが、とても子ども引き付けるのが上手でした。

この学級づくりが難しい時代に、教師は授業のほかに、学級の雰囲気づくりや友人関係の調整など、学級のあらゆる面にかかわっていく必要があります。

 

それをうまくやるためには、

子どもとの関係づくり

を積極的にやっていく必要があります。

子どもとつながるには、次の3つが大切でしょう。

 

①子どもが好きであること

②子どもの良い面に注目すること

③「あたたかい」こと

 

これはおそらく今も昔も変わらないことだと思います。

しかし、今だからこそ力を入れてやらなければならないことがあります。

それは、

それを伝えること

 

「あなたが好きなんだ」という気持ち。

「あなたはこんなに素敵なんだ」

「あなたには、こんなにすごい力があるんだ」という見方

「あなたの居場所はここですよ」

というぬくもりをことあるごとに伝えていくことです。

 

「先生だから」信頼される、好きになってもらえるとは思わない方がいいです。

信頼されるため、好きになってもらうためには、それなりの努力をしなければならないのです。

 

★zekkoutyou

 

①子どもが好きであること

②子どもの良い面に注目すること

③「あたたかい」こと

④それを伝えること

 

ここまでで1セットですね。

しかも、伝えるのは「ことあるごとに」です!

 

”荒れ”への「予防」と「治療」のコツ

赤坂真二著 日本標準 参考文献

 

5 教室での具現化にあたって④

 

それでは「あたたかい」ということはどういうことでしょうか。

 

人によってとらえ方はさまざまでしょうが、私は、

どんなに失敗しても見捨てない態度

だと思います。

子どもにとっては、見捨てられることが一番つらいことではないでしょうか。

この人は失敗しても最後まで自分のことを見てくれるという思いが安心感を抱かせることでしょう。

「冷たさ」と「あたたかさ」の間に境界線を引くとしたら、この態度があるかどうかが一つのポイントになることでしょう。

あたたかい指導には、多少厳しくても子どもたちはついてきます。

頑固な指導は、明るさやあたたかさとセットになって初めて有効に機能することでしょう。

 

よく実践書の指示の部分に「教科書の〇〇ページを読みなさい」と書いてあります。

「~なさい」という言葉に、命令や強制のニュアンスを感じてしまう場合もあります。

しかし、実際に教室では穏やかな表情で、優しい口調で言っているのかもしれません。

実践部分を読むときには、ただ文字だけを読み取るのではなく、その文脈から表情や声のトーン、身振り手振りのようなものも感じながら読んでいただきたいと思います。

★zekkoutyou

「見捨てない」

 

「冷たさ」と「あたたかさ」の間に境界線を引くとしたら、「見捨てない」という態度があるかどうか

 

なんて明確なんでしょう。

 

私の学級担任時の合言葉は「一人も見捨てない」でした。

目指しても目指しても、実際にできていたかと問われたら自信はありませんが、

でも願わなければ!決してできません。

”荒れ”への「予防」と「治療」のコツ

赤坂真二著 日本標準 参考文献

 

5 教室での具現化にあたって③

 

「頑固さ」と「明るさ」はさまざまな書籍にも主張されていることです。

それに加え、私が今いちばん重視しているのが「あたたかさ」です。

 

このごろ、子どもと接していて感じるのは「あたたかさ」を求める子どもが多いことです。

親に求めるような愛情を求めているようにも感じます。

「甘えたい」という強い願いを感じます。

 

だから、子どもへの働きかけに「ぬくもり」や「体温」があるかどうかが重要になってきます。

私の出会った授業の名人と呼ばれる人、学級づくりの達人と呼ばれる人たちは、例外なく「あたたかかった」です。

器の大きさがなせるのか、ひと言ひと言に「体温」を感じました。

それでは、「あたたかい」ということはどういうことでしょうか。(続く)

 

★zekkoutyou

>私の出会った授業の名人と呼ばれる人、学級づくりの達人と呼ばれる人たちは、例外なく「あたたかかった」です。

 

「例外なく」!!

あたたかさはこんなにも大切な教師の資質なのですね。

ぬくもりや体温を感じられる指導、言葉、表情、身に付けていきたいものです。

 

 

”荒れ”への「予防」と「治療」のコツ

赤坂真二著 日本標準 参考文献

 

5 教室での具現化にあたって ②

 

頑固さと明るさとあたたかさ

 

学級に新たな働きかけをするわけですから、容易に妥協しない「頑固さ」が必要なことはご理解いただけるでしょう。

たとえば「人の話を最後まで聞く」ということを指導したとします。

もし、他の子どもの発言をさえぎって話す子どもがいたときに、それを許したり見過ごしたりしたら、誰もそのルールを守らなくなります。

頑固なまでの毅然とした態度が必要です。

 

「頑固さ」なんて書くと、厳しい冷たいイメージを持たれるかもしれませんが、厳しく冷たい教師には今どきの子どもはついてきません。

明るいトーンの指導が必要です。

子どもに真剣に語り聞かせることはとても大事なことですが、それだけではどんなに正しいことを言っても、子どもは堅苦しさや息苦しさを感じてしまいます。

いや、教師の言っていることが正論であればあるほど、子どもはつらくなってしまうかもしれません。

 

だから明るいトーンで指導することが大事です。

ときにはお笑いを交えたり、キャラクターグッズを用いたりして、子どもが笑顔になれるような仕掛けをしていくことがとても大事です。

特にルールなどの指導では、それを守るとどのような良いことがあるのかを考えさせたり、体験させたりして、重苦しい指導にならないようにすることが有効です。

★zekkoutyou

毅然と、しかし明るく!!

簡単そうでむずかしい・・・。

だからこそ、意識していかないと身につかないワザですね。

 

毅然と、しかし明るく!! ですね。